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《 2019.9.12 》

厚労省、“通いの場”の成果を評価 指標例に認定率や改善率も 交付金と連動へ


《 厚労省 》

全国の市町村がそれぞれ予防などを推進している介護保険制度の「総合事業」− 。健康寿命の延伸を最重要課題と位置づける厚生労働省は、来年度、あるいは2021年度にこれを見直す計画だ。その方向性の一部がみえてきた。

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健康づくりの“通いの場”などのより効果的な展開を現場に促していく。事業のプロセスとアウトカムをみる指標を国として新たに設定。市町村ごとに進捗を評価し、PDCAサイクルを着実に回していってもらう。これと「インセンティブ交付金(*)」を連動させ、自治体のモチベーションを引き出していく方針だ。
 
インセンティブ交付金
正式名称は「保険者機能強化推進交付金」。自治体の努力や成果などに応じて、それぞれの金額の多寡を決めるルールだ。地域包括ケアシステムの構築や予防などで「頑張ったところが報われる」仕組みとして、2018年度から新たに創設された。今年度の財源は200億円。
 

 プロセス指標に専門職の関与

 

“通いの場”などの進捗をみる指標は現在もあるが、これに基づく評価は義務ではない。実際に評価を行っている市町村は全体の30.4%だけ。PDCAサイクルを回す土台が十分でないところが多いとみられている。
 
厚労省は「インセンティブ交付金」を使ってこうした状況を改善したい考え。今後の論点として、各自治体の取り組みをより適切に評価していく指標のあり方を据えている。
 
今月4日に開いた有識者会議では、アウトカム指標に“通いの場”の参加率や社会参加の機会の増加を含めてはどうかと提案。加えて、要介護認定率の推移や要支援者の改善率・悪化率、健康寿命の延伸なども例としてあげた。
 
第5回一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会資料
 
プロセス指標の案としては、地域の多様な主体との協働や専門職の関与、行政の他部門との連携、高齢者の参加促進などを提示。このほか、市町村の支援などを中心とする都道府県向けの指標を定める意向も示した。こうした評価の仕組みと「インセンティブ交付金」をどう連動させるかはこれから詰めていく。
 
政府は目下、「インセンティブ交付金」の財源を来年度から倍増させる方向で調整を進めている。その機能を大幅に強化する狙いだ。自治体がより積極的な姿勢に転じれば、現場の医療・介護関係者への働きかけも強まっていくとみられる。
 

 総合事業の上限額、弾力運用も俎上に

 

厚労省はこのほか、総合事業の経費の上限や対象者を規定するルールの緩和も検討していく。
 
経費の上限は現在、総合事業を始める前年度の予防給付と予防事業の額に75歳以上の高齢者の伸び率をかけた額、などと設定している。これに新たな例外を設けるかどうかが論点だ。例えば、ポイントの付与など“通いの場”の展開に多くのリソースを投じる場合には、より弾力的な運用を認める案が浮上している。
 
総合事業の対象者をめぐっては、「要介護認定を受けても、住民主体のサービスを引き続き利用できるようにして欲しい」といった要望が、現場の関係者から寄せられている。厚労省の担当者はこうした制度改正について、「関係者の意見を踏まえて様々な角度から具体的に検討したい。有識者会議でも俎上に載せる」と話している。